[こうやのしょうせつ(毎週土曜日更新) 燐による小説かもしれないもの]
〜孔弥の視点から見たSaGa-Millの小説〜

第5話

「死神免許取得中」(仮)

よく物語やゲームの中で主人公が最初に死ぬということは時々ある。しかし、そのまま生きかえらないというのはないはずだ。なんらかの形にして主人公は生きかえっているはずなのだ。

だが、現実はそうもいかないらしい。これでもし、俺が小説の中の主人公ならその小説はたった数行で終わるだろう。何せ俺はもう死んでしまったのだから・・・。

 

 

今も俺の足元では葬儀がおこなわれており(俺の)友人や学校の先生、バイトしていた所の店長まできてくれている。

親しかった友人は泣いており俺の親なんか号泣もんだ。

 

死んでみると人のありがたさがよくわかるというがどうやら本当のようだ。これで俺のありがたみがよくわかっただろう。

でも今俺が参列にきた人たちの上を浮いていてそういうことを考えていたとしてもまるで意味がない。

 

「ハトリ〜、もうこの世に未練ないですかぁ?」

 

唐突に俺の横で声が聞こえた。この妙に猫なで声の無性にムカつく女でも有り、俺の死の原因となった女。

 

 

「んじゃあさっさといきましょう〜さっさと〜私は死神なんですから貴方だけかまっていられないのですよ〜」

 

あ〜今こいつの発言を聞いて素直にひいた人がいたら大いに俺もそう思う。何故なら俺もそうだったからだ。こいつの名前は唯というらしい。

しかもこいつの今の言葉は嘘偽りでもなく妄想でもない。真実であり、現実だ。

 

こいつはある日唐突にあらわれしかも俺の身体から俺の魂を抜き出した張本人でもある。

 

なんで、どうしてこうなったか、俺はひじょーに気になったので死んでからもう何回もやってる回想モード(ただ思い出にひたってるだけ)に突入した。

 

その日の俺は朝から不機嫌だった。

 

目覚ましが止まっていて遅刻しそうになりしかもその日にかぎって朝食は通学しながら食べられないご飯。

 

信号には見放されるし車は飛び出してくる。

 

俺の通う学校は自宅から自転車で30分の距離にある。

 

こんなことが続けば誰でも学校につくまでにはむかついてるだろう。

 

それに結局遅刻をしてしまった。

 

そんなものだから俺は午前の授業をボイコットし、屋上で寝そべっていた。

 

「はぁ・・・だりぃ・・・。」

 

「だめだよ、こんなところで寝てちゃ風邪引くよ?羽鳥君」

 

またか・・・。

 

「てめぇ・・・お前こそ授業ボイコットしてるだろうが!!文句言えた立場かよ!?」

 

そういいつつ俺は空に向けていた視線を屋上の出入り口にうつす。

 

案の定俺の予想した通りの人間がそこにいた。

 

「あはは・・・まぁ気にしない、気にしない♪」

 

俺の突込みを笑ってあしらったこいつは四之宮 司(女)俺と小、中、高と学校が同じの幼馴染・・・いや腐れ縁の知り合いだ。

 

「んで、今日は何の用だよ?」

 

俺は司の出現にとまどいを感じた。こいつがくると大抵ろくなことがおきないからだ。

 

「ん〜、実は羽鳥君にお願いがあってきたんだな〜私は」

 

ほら、きた、どうせきっとまた無理難題を押し付けるに決まってる。

 

「今度は何だよ?またヤーさんの事務所に突っ込めとかゆうんじゃねぇだろうな?」

 

「いやだなぁ、そう何度もあーいうこと頼まないって」

 

前回のこいつの頼みはほんとにやばかった。いかにもその筋の人ですという事務所に特攻してこいというのだ。

 

俺はなんとか機転をきかし(偽のダイナマイトを腹にくくりつけ脅した)等のよう動をしている間に司が設置した爆薬で事務所があったビルは倒壊しはじめるなど生きた心地がしなかった。

 

まぁなんとかこうして生きてはいるがああいうことが何度もあると生きた心地がしなくなる。

 

しかもなんでかと理由を問いただしたところ・・・知り合いの人の兄の友人の従兄の義理の娘が薬の被害にあったからだという。

 

これを真面目に言っているのだから始末に終えない。事実ほんとにそうなのだ。

 

自分が悪と決め付けた奴は自分以外の誰かを使って陽動している間にぶっ飛ばす。

 

それが四之宮 司という人間だった。

 

「で、何の用なんだ?」

 

「あ、聞いてくれるの?やっさしい〜さすが羽鳥君♪」

 

「一応な、くだらん話やつまらん話だったらその場で帰る」

 

「大丈夫、大丈夫〜」という四之宮を見て俺はかなり、いや凄く不安になった。

 

「あのさ、2−Cの笠藍 春奈って知ってる?」

 

「笠藍 春奈ってあの華道部の笠藍か?」

 

「そうそう、その笠藍さん、たしか羽鳥君と知り合いだったよね?」

 

そう、たしかに笠藍とは知り合いだ、といっても中学時代にクラスが一緒で席が隣ということがあったから、

というだけだ。

 

「うん、彼女、実はストーカーにあってるみたいなの、だから〜ヨロシク!!」

 

そういって四之宮は俺に右手で軽く敬礼すると回れ右して門に向かおうとする。

 

成程、たしかに笠藍はででるところはでてるし、しまってるところはしまっているといういわゆるボン、キュ、ボンという体系だ。

彼女がストーカー被害にあったといってもたしかに頷けるものがある、が・・・

 

「いや、何をどうすればいいんだ?」

 

至極当然の疑問だ、たしかに笠藍とは知り合いだがほんの数回話ただけで特に親しいという間柄ではない。

 

第一こいつの話はいつも突拍子すぎる、おかげで俺はいつもこいつなんかの考えを予想しなければいけない。

 

「もぅ〜羽鳥君なら、わかるでしょ?」

 

「用は笠藍のボディーガードをすりゃいいんだろ?んなことはわかってるんだが何で俺なんだ?」

 

俺が溜息まじりにそういうと四之宮はにっこりと微笑み

 

「ちゃんと話わかってんじゃ〜ん、後は本人に聞いてねぇ〜」

 

「あ、おい、まだ俺は受けるとはいってねぇ!!」

 

「だってもう2限終わるんだもん、お昼買いに売店いかなきゃ〜・・・それともお昼を食べさせないき〜?」

 

俺の言葉に振り返りながら言い、両方の頬を膨らませる、正直あいつがそんなことしてもブリッ娘は似合わない。

 

そんなことを俺が考えているうちに四之宮は屋上からでてってしまった。

 

入れ違うかのように今度は別の女が屋上にきた。あの長い髪を一つにまとめていてメガネをかけている女には見覚えがある。

 

あいつは・・・笠藍 春奈だ。相変わらず綺麗だなーと思ってみていると笠藍はどんどん近づいてくる。

 

「あの・・・四之宮さんから羽鳥君がボディガードを心地よく引き受けてくれたってきいたんだけど・・・」

 

あの尼・・・去り際にそんなことをいったのか?ったく・・・面倒ごとは嫌いなんだがなぁ・・・。

 

「ま、しかたねぇか」

 

「え、しかたないって・・・?」

 

俺の独り言に笠藍は首をかしげる、正直いってかわいいな、ストーカーの気持ちがよくわかる。

 

「ん、ああ、なんでもねぇよ、それよりストーカーの話、詳しく聞かせてくれるか?」

 

「あ、うん・・・あ、羽鳥君お腹空いてない?私、今日お弁当余分に作ってきたからよかったらどうかしら?」

 

「あ、わりぃな、ありがたく頂戴するよ」

 

ってこういう風に誤解を生む行動してるからストーカーにあったんじゃねぇか?

 

「うん、その・・・実はそうなの・・・」

 

聞いてみると案の定そうだった。

 

「その人、同じクラスの楊 守(やなぎ まもる)君って言うんだけど、あまり話さない子で、だから・・・」

 

成程、それでそいつが勘違い・・・ってことか、よくあるパターンだなぁ・・・。

 

「でも、その気はないんならそういえばいいじゃねぇか」

 

俺の言葉に笠藍は顔をしかめつつ

 

「うん、私もそう思っていったんだけど、「なら誰か好きな男でもいるの?」って聞かれて、そこでいるって答えたら諦めてくれるって思っているって答えたんだけど・・・」

 

「なんだ、ひかなかったのか?そいつ」

 

随分とまた強情な男だ、それでちゃっちゃっと諦めりゃいいのに・・・。

 

「ううん、その時はわかったっていってくれたの、でも・・・そのすぐ後、クラスの仲のいい男子が下校中に襲われたの」

 

「おいおい・・・まじかよ・・・」

 

どうやらこれは俺が思ってたより随分ひどいようだなぁ・・・。

 

「幸い、軽い怪我ですんだらしいんだけど・・・私恐くて・・・」

 

最後は涙声でいい、顔を覆う笠藍、四之宮め、また面倒事を押し付けやがって・・・。

 

OK、わかった、なら会ってみるか」

 

「えっ!?」

 

俺の言葉に驚いて顔をあげる笠藍、俺はそれを無視して笠藍から貰った弁当の中身を全部平らげ笠藍に返す。

 

「俺は何事もまず下見をするんだよ、じゃ行くぜ」

 

そういいながら俺は寝転がっていたときに下にひいていたブレザーを羽織、屋上の扉に向かう。

 

その俺を呆けたようにみていた笠藍ははっとし、急いで弁当を片付けて俺の後を追ってきた。

 

このとき、貯水タンクの陰からずっと俺のことを見ていた影に、俺はその時不覚にも気がつかなかった・・・。

 

 

これからどうするか、このあと教室にいってもんだいの男にあい、そこでどこかひっかかるところを感じる羽鳥、その後家でようやく死神と対面。

 

幕間

僕は正直他人と接するのが苦手だった。

 

だから昔からクラスで苛められてた、今まで死のうと何度思ったことか。

 

だけど死ぬのはとても恐かった。一度高層ビルの屋上に忍び込んだことがあったがとても高く、足がすくんでしまった程だ。

 

情けない自分、こうして僕はずっと苛められて友人もできないまま生涯を終えるんだと思ってたけど転機が訪れた。

 

そう、彼女だ。僕が苛められていたところに現れて助けてくれた彼女。

 

彼女はきっと神様が僕に与えてくれた天使なのだ。今まで我慢して苛めに耐えてきた僕にたいする褒美なのだ。

 

だから誰にも渡すものか、そう、あれは僕の天使なのだ・・・。

 

第二幕

〜邂逅〜

 

「ここがそうか」

 

「あ、うん。そう、私のクラス」

 

屋上から移動し、俺は笠藍のクラスの前に立っていた。

 

「んじゃ、入るぜ。席はどこなんだ?」

 

「えっと・・・たしか窓側の後ろから三番目くらだと思ったわ」

 

「それだけわかりゃ上等!」

 

そういって俺は勢いよく教室のドアを開けた。

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